ゲノム編集による不妊化技術は外来魚の駆除に有効か
琵琶湖の生態系を脅かし続けている外来魚。1985年よりオオクチバス、コクチバス、ブルーギル、チャネルキャットフィッシュの4種に対して外来魚対策が行われており、その生息数は徐々に減少傾向にあったそうです。しかし、2013年以降、駆除量が減少し生息数は増加傾向にあると公表されています。
画像引用元:滋賀県―「外来魚駆除対策事業」
現在は密放流の禁止をはじめ、滋賀県漁業協同組合連合会の協力による稚魚を含めた捕獲・処理、電気ショッカーボートを利用した産卵期集中集捕獲等が行われていますが、国立研究開発法人 水産研究・教育機構 増養殖研究所が、外来魚を不妊化させることで繁殖を抑制する新しい駆除方法の研究を進めているそうで、数年以内に近畿地方の池に放流し、実験データを集めて琵琶湖(滋賀県)での実施を目指しているそうです。
不妊化による外来種の駆除は、過去に沖縄で外来種の害虫「ウリミバエ」に対して行われたことがあるそうです。1972年から各島で順次実施され、その根絶は1978年に久米島、1987年に宮古群島、1989年に奄美群島、1990年に沖縄群島、1993年に八重山群島で確認されたそうです。
関連URL:公益財団法人日本科学技術振興財団放射線教育支援サイト“らでぃ”―「らでぃ」レポート ~ 沖縄県病害虫防除技術センター編
現在研究されているゲノム編集で外来魚を駆除する技術開発は、2014 年から環境省 環境再生保全機構の環境研究総合推進費によって実施されているそうです。その原理は、メスを不妊化させる遺伝子をもたせたオスを放流し、通常のメスと産卵行動を行うと、生まれてくるメスは不妊の遺伝子をもつことになり、これが繰り返されると不妊の遺伝子を持つメスが増えていくため、やがてはその水系の全個体が根絶する、というものだそうです。コンピューター上のシュミレーションでは効果が確認されており、遺伝子の編集に関しても成功しているとのこと。現在は不妊化したブルーギルの増産・放流方法や、生態系への影響、市民との意見交換などを進めている段階とのことです。
なお、この研究で行われているのは「ゲノム編集」という遺伝子の変更。自然の放射線や紫外線で起こる遺伝子の変異と同じで、特定の部位でそれを起こす技術がゲノム編集というものだそうです。これは新しい遺伝子を組み込む「遺伝子組み換え」とは異なるもののようです。
参考URL:農林水産技術会議―「あなたの疑問に答えます」
京都の海のまちに生まれ、大学で千葉へ。一度は都内で就職するも、結婚を機に滋賀に住むことになりました。現在は彦根で一男一女を育児中。ママコーラス副代表など、新しいことにチャレンジしています。
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